目が覚める直前に見た、強烈な夢。

 私は(恐らく)高校生になっていて、教室の教卓の前の席に座っている。数学の授業中らしい。先生は、好きな俳優(オールドムーヴィーの俳優だが)に良く似た端整な容姿で、とても神経質そうだった。きっちりした字で数式を板書している。黒い背広の袖口にチョークの粉が点々と着いている。
 暫くして、先生の声が突然小さくなり、ぼそぼそと呟くように何か喋っていたかと思うと、「私は崖だ、崖だ、崖だ」と言いながら黒板に意味不明な波線を書き連ねていく。あまりに突拍子もない言動に教室中騒然としているところに、若い女の人が入って来、「私はフルーツサラダが食べたいの。大丈夫だから。さ、行きましょう」と言って、無表情で意味不明な言葉を言い続ける先生を抱え込むようにして、教室の外に連れ出す。
 目の前で先生が発狂する過程をまざまざと見てしまった私は、気分が悪くなり保健室に行く。すると、先ほど連れ出された先生が、憔悴しきって車椅子に座っている。その周りに、先ほどの若い女と保健医らしき中年女性、それから学校の重役然とした中年男性が立っている。「今度は、もう正気を取り戻すことはないかもしれませんね」と保健医が言うと、「まだ若いのに可哀想だな」と男が呟く。「折角治ったのに、負担が大き過ぎたのだろうか」という声も聞こえる。
 そのうち、救急車のサイレンが聞こえ、救急隊員が保健室にやってくる。暴れる心配はないだろうが、体力の消耗が激しいようだからと、先生の身体を毛布で包む。その間、先生は虚ろな目をして無表情だったが、何だか哀しそうでもあった。そうして、病院へと搬送されていった。

 特に、最後の搬送されていく時の先生の顔が、夢なのに目に焼きついて離れない。怖いというよりは、悲劇の過程に立ち会ったような気分だった。この先生は、どうやら以前にも精神を患ったことがあるらしく、「今度はもう〜」という話になったようだ。
 今、卒研のため精神疾患についての文献を読むことが良くあるので(しかも昨晩は遅くまでレジュメを作っていたので尚更)、夢に反映されたのだろう(はてな夢日記)。