友人と古い日本家屋の料亭兼下宿で暮らしている。下宿と言っても、風呂トイレ台所完備なのでアパートのようなものである。私が外から帰ってくると、丁度友人がこれから出かけるらしく玄関で会い少し立ち話をするが、友人は私が履いている赤いサンダルが欲しい、これと取り換えてくれと自分が履いている赤い靴を差し出す。私は、特にそのサンダルが気に入っていたわけではないが、欲しいと言われると急に惜しくなり、嫌だよと断るが、友人は諦めず交換しろと言うので、一悶着起きる。結局私が折れて、好きにしなよとサンダルを渡すが、友人から貰った赤い靴を履く気にはなれなかった。
 片付かない気分のまま、自分の部屋で昼食の残りのお握りを食べていると、綺麗に着飾った舞妓さんのような人が膳を運んでくる。刺身やらひつまぶしやら(何故かこの二つが特に印象に残っている)、豪華なご馳走が次々に運ばれるが、彼女達は終始無言だったため、これを私が食べても良いのだろうかと変に気を遣ってしまい、中々箸を付けることの出来ないうちに目が覚めてしまった。惜しいことをしたと思う。