断片

試験を受けに行った帰りらしく、スーツを着てスーツケースを引いて、どこかの学校らしき建物(最近の建築物らしく、嫌に無機質なデザインである)の中を歩いている。天気が悪く、明かりも付いていないため、廊下は暗く少し心細くなる。螺旋状に渦巻く階段を下るが、階下は闇に溶け消えていて、とてつもない恐怖に駆られる。その先にある図書館に寄りたかったが、閉館時間を過ぎていたためやはり暗く静まり返っていた。図書館の隣の部屋から、吹奏楽バージョンの「パリは燃えているか」の冒頭部分が聞こえてきて、泣きそうになったが、何故かそのまま立ち止まって聴きたいとも思った。しかし、帰りの電車の時間が迫っているので急いで学校を出た。
 学校の玄関は駅のフォームに繋がっており、私は電光掲示板に表示されている電車の出発時間を眺めている。私が乗る電車とは別の電車が、人身事故のため運転を見合わせているという表示が点滅している。何か用事があって、スーツケースのファスナーを開けていると、ベンチに座っている女子高生にスーツケースの中を凝視される。
半年以上も前に辞めたバイト先に何事もなかったかのように出勤し、半日程荷積みなどの仕事をした後、「そういえばこのバイトはもう辞めたんだった」と気付き、そのまま帰ろうかと思ったが、折角半日も仕事をしたのだから、その分の給料を貰ってから帰ろうと思い直し、現場の責任者にその旨を伝え四千円程貰って帰る。
最初の夢はやたら暗くて、妙に不吉な雰囲気漂う夢だった。階段のシーンが特に印象的で、夢診断をしたが「階段」という項目自体がないため、今だに引っかかったままだ。二番目の夢は、起きた後も「だいぶ前に辞めたバイト先で勝手に働いておいて、あまつさえ給料まで貰うなんて、何て図々しいんだ、もう外を歩けない」と暫く落ち込んでいた。