進学校として有名な高校に途中入学することになる。高校のはずなのに、生徒の年齢はばらばらで、普通の高校生(この年代の生徒だけは制服着用)が大半を占めている一方で、二十代後半から五十代前後の人などもそれなりにいたりする。でも、年齢差による上下関係はなく、あくまでも学年別の上下関係であり、その辺りは大学に似ているなと思う。初日は放課後から登校したため、部活動の見学をする。吹奏楽部の活動を見に音楽室に行くと、今日は体育館で新入部員の希望するパートを決めているから、そっちに行ってくれと言われ、体育館へ向かう。体育館には五十人程の人が集まっており、それぞれ自前の楽器を持っている。私は何故か、リコーダーを手にしている。右端の列の先頭から順に、自己紹介と希望する楽器名を言い、簡単な演奏をしていく。皆やたらと上手い。これが進学校の実力というものか、と関心していると、三十代くらいの男がコントラバス(以下弦バス)を演奏する。物凄く下手で、聞くに耐えない。もう一人、やはり同じような年恰好の男が弦バスを弾くが、これも下手で聞いていて苛々する。それでも、他の人々は上手いと拍手をする。元弦バス弾きで今回も弦バスを希望している私は、あんな演奏だったら私の方がよっぽど上手く弾けるわいと思っている。しかし、弾くのを止めて五年以上も経っているため、ポジションが曖昧である。リコーダーを弦に見立てて、C調のポジションを確認する。
 場面は変わって、教室棟をうろついている。次の授業が何であるのか、どこの教室で行われるのか、まだ入学したばかりなので分からない。廊下に貼ってある時間割表を見る。二時間目は医大志望者のみの生物、というコマがあって、さすが進学校は違うなぁと感心する。そうこうしている間に、二時間目開始のチャイムがなる。
弦バス弾きたい、と思っていたら夢にまで見てしまった。余程弾きたいらしい。C調のポジションは、起きてから確かめたところ合っていた。夢とは関係ないけれど、「吹奏楽やってます(ました)」という人とは良く出会う割に、「弦バス弾いてます(ました)」という人には一度も会ったことがない。人数自体他の楽器に比べて少ないってのもあるが、元弦バス弾きとしては寂しい(コントラバスって何? とか言われた日には寂しさ倍増)。弦バスは、主役になることは殆どなくチューバに音を掻き消され気味の、影の薄い楽器という感じがするが、いつだったかラジオで聞いた弦バスのソロ曲は物凄い迫力があって、それ以来弦バスのイメージががらりと変わった。ただ迫力があるだけじゃなく、破壊的なまでの迫力の裏には一つ狂うと脆く崩れる繊細さがあるのがまた良い。単に低音固めだけに使われているのが勿体無いなーと思える程の良い音だった。まぁ、あんな風に弾けるにはかなりの技術が必要なんだろうけれど。
夢日記リストの登録は、来月中旬になったら暇になるのでそれ以降にします。