高校時代の友人が芸術に目覚めたらしく、幾つか作品を見せてもらう。一見パイプ椅子のように見える作品は、腰掛け部分を外してタイヤやハンドルなどを取りつけると、クラシックカーのようになる。「チャップリンの映画に出てきそうだよ! 凄い凄い」と誉めまくると、友人は凄く照れながら「そんなことないよ」と呟く(そんな人だった)。
 友人が帰り、私は近くにあった湖で水上スキーをしているテレビ技術者達を眺めている。暫くして、今日は学校に行かなければいけなかったことを思い出し、急いで母校の小学校に向かう。幽霊が出そうなオンボロ木造校舎の階段を昇り、三年生の教室に辿りつくと授業は始まっていた。私は今日からこの学校に転校してきたのに、初日から遅刻するのはばつが悪かったが、そっと教室に入り席に着く。担任の教師は最近赴任したようで、児童の扱いが下手で泣きそうな顔をしている。「放っておけば良いよ、そのうち切れるだけだから」と隣に座っていた女の子が私に囁く。女の子が言う通り、教師は突然「私は貴方達が思う程、出来ない教師じゃないのよ!」と金切り声を上げる。「私はねぇ、○○大学を卒業して・・・」と自分の経歴を語り始める。そんなので子ども達を纏められると思っているのか? と呆れながら彼女(教師)を見ていると、隣の女の子が「ちょっとアンタ、余計な口出ししないでよ。あの女は自分で勝手に自滅していくだけなの。それを見るのが楽しいんだから」と物言いたげな私をギロリと睨んだ。
最近の小学生は怖いと思ったが、自分が現役小学生だった頃も、すぐ感情的な怒り方をする教師を冷めた目で見ていた気がする。