冬登山

地元にある小山を登山する。足にはスキー板を装着している。雪を踏みしめながら一歩一歩進んで行く。頂上まで着かぬ内に転ぶとその時点で失格になるので、慎重に歩く。雪に埋もれた神社を過ぎ、桟橋を渡り、急な斜面を登り(スキー板を履いているのに、ちゃんと登れたのは夢ならでは)見事頂上まで登り詰める。記録は八時間弱。初心者にしては上出来だと審判から誉められる。
自信がつき、今度は前回より一時間タイムを縮めるのに挑戦する。スタートは自宅からである。付き添う審判は私の従姉妹だ。学校らしき建物の近くまで来ると、従姉妹は「用事がある」と私を玄関まで連れて行く。玄関で従姉妹を待っていると、従姉妹の弟(私と同い年)が出てきて「卒論終わらなくてさー」と話しかけてくる。「私もだよ」と返したところで、卒論の〆切まで日数が無いことに気付く。こんなことをしている場合じゃない、と思っていると携帯電話が鳴り、電話越しに父から「今日はごんげな(凄い)雪だから、山さな登んなー(山には登るな)」と言われ、外を見ると一寸先も見えぬ位にドカ雪が降っているのだった。