短大時代に三ヶ月間だけしていた事務のバイトをまたすることになった。事務室は相変わらず狭くて暗く、バイトの教育係的おばさんも相変わらず陰気で神経質だった。それでも、以前勤めていた時よりは和やかな雰囲気で対応出来たのでホッとする。今後のシフトを決めるから、と言われシフト表に都合の良い時間帯を書き込んでいる時、そういえば私はこの他に二つバイトを掛け持ちしているのだったことを思い出す。一日四時間働けるかどうかだ。しかしおばさんは「せめて半日は働いて欲しい」と言ってくる。また口論になるのだろうかと思うと、胃が痛くなる。

 駅の下りエレベーターに乗っていると、後ろから肩を掴まれる。振り返ると、高校時代の友人が「やぁ、久し振り!」と言った。(訳あって)縁を切ったはずなのに、厄介だなぁと思っていると、「実は今度●●に盗みに入る予定なんだけれど、一緒に来ない?」と誘ってくる。どうしようか迷ったが、金に困っている時だったのでその誘いに乗ってしまう。その夜、友人と他の泥棒達と共に、飲み屋街の地下にある焼肉店に忍び込む。店主と従業員は昨日から慰安旅行に行っているので、店内には誰もいない。金目のものを物色し終わってから、腹が減ったからついでに焼肉を食っていこうということになり、冷蔵庫から肉を出して調理していく。私が店の外に出ようと入り口のドアを開けると、焼肉店の店主と従業員が薄笑いを浮かべて立っていた。「急用が出来て、戻ってきたんだよ」と言って、私の腕を強く掴み、店の奥に案内するよう要求した。仕方なく、私は彼らを奥へ案内すると、テーブルの上に焼き上がった肉の皿を並べビールを飲んでいた泥棒達が、呆然とこちらを見ていた。