阿房列車*1

内田百輭*1とその教え子さんと一緒に、電車で旅することになった。時代が現代だったため、汽車ではなく電車である。路線は奥羽本線で、窓の外は雪で真っ白だった。
そのうち百輭が「一番前の車両に行きたい」と言うので、三人して先頭車両に向かって歩いた。しかし幾ら車両が変わっても、先頭車両には辿り着かない。東京のぞろぞろ長い電車のようだと私は思う。
「おかしいな」と言いながら、尚も車両を出たり入ったりしているうちに、車両間の扉が襖に変わり、座席は畳敷きの座敷になり、何時の間にかどこかの屋敷の座敷をぞろぞろと歩いている。
大好きな作家で、しかも現実では会うことは出来ない人なので、夢の中とはいえ凄く嬉しかった。

*1:大正・昭和の小説家、随筆家。詳しくはキーワード参照。