吹雪の朝、いつものように農道を通って高校に行く。暫く歩くと、遠くに大きな細長い箱があるのが見える。近づいてみると、それは白い棺で、中には西洋人とおぼしき綺麗な顔立ちの男がぴったりと収まっていた。男は私を見るなり、寒くて風邪を引きそうだと言った。棺の蓋が吹雪で飛ばされてしまったのだ。私は辺りを見て回るが、蓋らしきものはどこにも無かった。一緒に高校に行きませんか、と男に言うと、駄目だ俺はもう死んでいるんだ、と返された。男に風邪を引かれてはまずいが、急がないと遅刻してしまう、どうしたらいいんだと私は焦り、胃が痛くなる。男は、自分の始末くらい自分ですると言い、田んぼの向こうを見るとリアカーを引いた黒服の男がこちらに向かってやって来る。近づくにつれ、その男は棺の男と同じ人物なのが分かった。リアカーの男は無言で棺をリアカーに載せ、来た道を戻る。不意に棺の男が、お前最近元気か? と聞くので元気だよと私は答え、そこで漸く男が私の祖父であることに気付いた。
高校の頃見た夢だが、今でも強烈に覚えている夢の一つ。吹雪なのは、実家の土地特有の天気のせいだと思う(冬は吹雪が酷くて前が全く見えないのが当たり前である)。