高校の卒業アルバムに載せる記念写真を撮ることになる。女子は振袖、男子は羽織袴を着て、一人一人撮るらしい。着物は体育館に山積みされていて、それぞれが好きなものを着て良いらしい。私はまだ誰もいない体育館で一人着物を漁っているが、「写真撮るのか、かったるいなー」と思っており、真面目に着物を選んではいない。そのうち学年全員が体育館にやってきて、壮絶な着物の奪い合いになる。私は写真なんてどうでも良いと思う一方で、気に入った柄の着物がどんどん獲られていくのに少し焦るが、傍観している。
 私と同じように着物を着ずに立っているだけの人が数名おり、今着物を着ている生徒の写真を撮り終わってから写真を撮るよう教師に命ぜられる。アルバムなんてどうせ見ないから、写真も撮る必要はないのになぁと思っていると、残りの生徒と共に屋上に行くよう言われる。牧場のサイロのような建物の梯子を昇り、屋上へ出ると、青空が広がっている。空気は冷たい。「屋上って青春っぽいよね」と私は意味なく呟く。解放的でありかつ閉鎖的であり、青空と強い風は清々しくあるが、飛び降りに持って来いなロケーションが刹那的で殺伐とした思春期の心に通ずるものがある、とその時私は考えていた。カメラマンかアシスタントが、着物を抱えて屋上に昇ってきた。手渡された着物はしっとり湿っている。「汗だよ、仕方がないよ」と言われ不愉快になる。周りを見れば、着物を寄り抜いている人達は中学時代の同級生で、私は自分が高校生なのか中学生なのか、はたまた二十歳過ぎの女なのか分からなくなってしまう。
久し振りに思い出しても憂鬱にならない夢だった。相変わらず支離滅裂ではあるが。