ドクター・エレベーター・ゴージャスレディ

医者なのか、研究員なのか知らないが、白衣を着て廊下掃除をしている。しかしあまりに人通りが多いため、いつまでたっても綺麗にならない。うんざりして、もう帰ろうと手にしていたモップを放り出して廊下を去ろうとすると、現場監督らしいおばちゃんに怒鳴りつけられたので、ダッシュで逃げる。
廊下の先は格調高い装飾を施されたホテルのロビーになっている。現場監督の追跡を振り切るため、ロビーにあったエレベーターに乗ろうとするが、そのエレベーターは出入り口の半分が床に沈み込んでおり、乗る時は入口に足から滑り込むようにして乗らねばならず、時に体が入り切る前にドアが閉まって首や体を挟むことがある。「初心者の方にはこのエレベーターはお薦め出来ません」と上品にタキシードを着こなした初老の紳士が私に言う。「あちらのエレベーターは従来型ですので、あちらに乗ることをお薦めします」紳士が示した方を見ると、百貨店にあるような大きなエレベーターが並んでいた。
早速それに乗ろうとすると、紳士が「一人ではお寂しいことでしょう。彼女達とご一緒にどうぞ」と、どこからともなくゴージャス美女を三人連れてきて私と一緒に行かせようとする。美女達(アメリカンな感じで、一人は黒人、後は白人。目元のメークが尋常でなかった)は笑いながらこちらに近づいてくる。私は「いいです、結構です」と言ってエレベーターに駆け込み「閉」のボタンを押そうとするが、それらしきボタンが見当たらない。迫り来る美女達。恐怖に駆られて、私はエレベーターを飛び出し、美女達を振りきって別の廊下にあったオンボロで窮屈なエレベーターに乗って降下する。