職場の休憩室に置いてあった、三人のおかまのおっさんが主役の刑務所漫画を読んでいる(彼(女)らは囚人達の中でも重鎮的存在らしい。新入りたちの体格に一々辛辣な一言を放つのが小気味よい)。が、気が付くと私がそのおかまの一人と旅行しているシーンに変わっている。四国の小さな島で、私たちは高台に登っている。良く晴れた日で、海が奇麗に見える。海面は乳白色がかったエメラルドグリーンだが、船が通ると軌跡から青い水が覗く。「綺麗だねー」「綺麗でしょー」と私たちは会話を交わす。

 これとは別の日に、井上陽水と佐野史朗とスガシカオが組んだパンクバンドのライブを見に行く夢などもあった。

 実家の店にいる。カウンター席の椅子が嫌に高くなっていて、座りにくい。カウンターには私の他に、若い女が何人か座っている。全員、カウンターではなく通路に身を向けて座っている。床には、カセットコンロと鍋が置いてある。鍋には豚肉が入っている。
鍋を挟んで、小柄な中年男性が座っている。彼だけは座椅子のようなものに座っているので、余計小柄に見える。しばらくして、彼は父の知り合いの市議会議員であることを思い出す。市議会議員は、先の総選挙で自○党が大敗したのは、君らが真面目に選挙運動をしなかったせいだ、と私たちをなじる。私以外の人は、しおらしく反省しているが、私はアホらしいと思って、鍋で煮えている豚肉を食べる。が、肉は生煮えで嫌な味が口いっぱいに広がる。市議会議員はなおもネチネチと小言を垂れている。

 

 職場の人と、地元の神社に紅葉を見に行く。神社の境内にはちょっとした川が流れている。上流に森があり、そこから落ちた紅葉が流れてくる様が美しく、デジカメで写真を撮ろうとするが何度撮っても上手く撮れずイライラする。そして、上流を良く見ると、紅葉を川に流す作業をしている人がいて、興ざめてしまう。
 川沿いに道を上っていくと、土産物屋やらが並んでいる。すると、そのわきにある溜め池のようなところにいた職場の同僚が私を呼ぶ。行ってみると、赤くて小さい金魚が沢山泳いでいる。そこだけ青々とした葉を茂らせた木々が立ち並んでいる。

 母校の小学校に来ている。校舎は私が通っていた頃に建て替えられ、当時の田舎の学校にしては最先端の設備を備えていたのだが、しばらく振りに訪ねたら更に進化している。四階建てだった校舎は九階建てになっており、螺旋状のエスカレーターが校舎の真ん中を貫いている。実験室や実習教室はガラス張りになっている。いたる所にメッキを施された鉄骨がむき出しになっている。校舎というよりSF映画に出てくる何かの基地のようである。
 この頃は地域に根ざした学校を目指しているらしく、生徒以外にも色んな人が自由に校舎の施設を利用出来るようになっている。便利な時代になったけれど、ここにはあの頃の面影はもはやないと、私は少し落胆している。最上階まで見てから、螺旋のエスカレーターで一階に戻る。
 すると、昇降口付近に沢山人がいる。近づくにつれ、そこが土産屋のようになっていることが分かる。そして、そこで話されている言葉は全く耳慣れない、理解できない言語であり、人々の顔立ちも日本人と似ているようで若干違っていることに気付く。外に出ると、近代的な建物は古びた土臭い平屋建てに変わっている。
 私は、タイに旅行に来ていたことを思い出す。お土産を買わなければと土産屋の店員に話しかけようとするが、タイ語が分からないのでどうしたらいいのか右往左往していると、店番の老人が片言の日本語で話しかけてくる。昔日本軍に占領されていた時に教えられた日本語をまだ覚えているのだという。でも、通じているようで通じていない感じがして、心許ない。旅行に来る前に、少し勉強しておけばよかったと後悔する。結局、何故か売られていた英国産のショートブレットの箱を掴んで会計しようと思ったところで目が覚めた。

 (数日前の夢なのでうろ覚え)
 地元の街の外れが砂丘になっている。時間は夕方くらいで、西日が街を照らしている。
 散歩をしていると、白い壁で一面がガラス張りのオシャレな建物に行きあたる。その建物を見て、ここって前にも来たけれどその時は休みだったカレー屋だ! こんなところにあったのか! と驚く。今までずっと探していたのだが、場所を忘れてしまった店だった。しかし店はまたしても休みだったので、次は友人と来よう、今度こそ場所を覚えておこうと思いながらしばらくその辺りを散策していた。

 このカレー屋は半年くらい前に見た夢に出てきたのだが、何故今頃また夢に出てきたんだろう。でも、夢の中でこのカレー屋を見つけた時は、とてもスッキリした気分になったのは良く覚えている。

 最近見た夢で覚えているもの。

 夕方、マンションの屋上のようなところにいる。そんなに階数のあるマンションではなく、おそらく二三階建てくらいではないかと思われる。
 職場の人と何人かで、真っ赤な旗のような布を広げている。風が来た時、皆一斉に手を離すと、布は空に飛んでいく。これは縁起担ぎの儀式らしいが厳粛な雰囲気ではなく、ちょっとしたイベントといったノリで行われている。そうやって、何枚か赤い布を飛ばしていると、以前短期間一緒に働いていた人に会い、近況を報告し合う。
 ふと、マンションのすぐ隣にある家に目をやると、先ほど飛ばした布がその家のアンテナにだらりとぶら下がっている。あまり縁起が良くないねと私たちは言い合う。

 職場で接客中、客がジャケットから拳銃を取り出し、無言で私に向かって発砲する。弾は私の右脇腹に当たるが血は出ず、痛みもほとんど感じられなかった。その場にいた他の人は誰もこのことに気付かず、私もびっくりしたもののパニックに陥ることもなく、「まあ、痛くないからいいか」とそのまま仕事を続ける。
 しかし、少しずつ脇腹が痛み出し、見るとエプロンに血が滲んでいる。これはまずいかもな、と思いつつも仕事があるので「まあ、まだそんなに酷くないから、仕事の後に病院に行けばいいか」と悠長に構えている。
 やっと仕事も片付きロッカールームでエプロンを外すと、ワイシャツが真っ赤に染まっている。それを見た上司に「どうしてそんなになるまで黙っていたんだ」と言われ、そこで初めて撃たれた時点で病院に行くという選択を採らなかったことに我ながら吃驚する。とにかく今の時間でもまだ診察してくれる病院に電話しなければと思うが、そうしているうちに気が遠くなり出す。

 出勤直前、制服に着替えてロッカールームから出てタイムカードを押しに行こうとするが、そんな意志とは関係なしに、足はビルの外へと向かう。このままだと遅刻してしまうと焦るものの、足は止まらずどんどん外を歩いて行く。歩きながら、「そういえば、職場はこっちの方にあるから大丈夫だった」と思い直すが、遅刻には変わりないので、上司にどう言い訳しようか考えている。
 本来ならば歩いて一分もかからず職場に着くはずなのに、一向に着く気配がない。気が付けば、見慣れない道を歩いている。道沿いにある家の庭樹が紅葉していて綺麗だ…とうっとりするものの、焦りは募る一方。
 そのうち、横丁のようなところに入っている。店はどこも閉まっていて、良く見たら横丁というよりイタリアの市場をイメージしたテーマパークのようなところで、道のどん詰まりには人形劇の小劇場がある。薄暗い舞台に、日焼けしたマリオネットがだらりとぶら下がっている。
 横丁を出ようとするとイタリア人らしき白人女性二人に声をかけられたので、道に迷ってしまったと身振り手振りで伝える。じゃあ、私たちが行先まで送って行ってあげるよと彼女たちは言うのだが、私はその行先がどこにあるのか分からない。ふと、この近くに母校の中学校があったのを思い出したので、とりあえずそこまで連れて行ってくれるよう頼む。しかし、すぐ近くにあるはずの中学校は、見晴らしの良い高台からいくら眺めても見つかりはしなかった。

 風景は映画のように美しいのに、不安で堪らない夢だった。